大判例

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東京高等裁判所 昭和46年(ラ)224号・昭46年(ラ)285号 決定

よつて按ずるに、共同相続財産は共同相続人が各相続分に応じて共有するものであるから、これを分割するに当つては各相続分に応じて均等に分割すべきであり、裁判所の自由裁量により分割の結果各相続分に過不足を生ぜしめることは許されないと解すべきである。相続財産が不動産であるときは、これを均分に分割することは事実上不可能なことがあり、また相続財産が農業用資産であるときは、これを細分化すべきではなく、これらの場合に共同相続人中の一部の者に相続財産を取得させ、その代償として他の相続人に対し各相続分に見合う金銭債務を負担させた上、場合によつてはこれを長期間の分割払いとすることも法律上不可能ではない。

しかるに原審判は、抗告人阿部昭次の相続分(共有持分)が一二分の五、その余の各相続分(共有持分)が各一二分の一であると認定し(その当否はしばらく措く)、かつ共同相続財産の総価額は金二一二五万四一〇〇円(原審判は被相続人が農業経営者であつたことを認定しながら、当然所有したであろうと推定される動産類を相続財産の範囲に加えず、またこれを排除した理由を説示しないが、その当否もしばらく措く)であり、したがつてその一二分の五は金八八五万五八〇〇円、一二分の一は金一七七万一一〇〇円であることを確定しながら、抗告人土居ノ内ヨキエ、同阿部昭次および原審相手方今村セツ子に対してはいずれも本件相続財産たる不動産中右認定の共有持分の価額に達しない不動産を取得させ、しかも右不足分につき他の相続人らに対し金銭債務を負担させない。原審判は、抗告人阿部昭次の取得分をその相続分より減じたのは、同人が本件相続財産中の建物に居住する利益を独占し、かつ同建物の一部を他に賃貸して賃貸料を自ら取得していることによる旨説示するが、他方においては被相続人がのこした金銭債務が同抗告人の受けた右の各利益により清算されたと認定しているのであつて、その間に明らかに理由のそごがあり、また他の二名の取得分を減じた理由については、全く合理的根拠を示さない。したがつて原審には右の点において民法第九〇〇条、第九〇一条の解釈、適用を誤つた違法がある。

なお、原審判は本件相続人中一部の者が分割による取得分を他の特定の相続人にやりたいと望んでいると申述したことに期待し、農業用資産たる本件相続財産をこれら非農家、非居住者たる相続人らにも分割取得させているのであるが、相続、譲渡およびこれに伴う登記手続等に関し諸税金その他の費用を支出することが当然予想されるところ、右申述者らがこれらの諸出費を自ら負担してまで無償贈与する意思を有することは本件全記録によつても認め難いから、原審判はかえつて農地の細分化を招くおそれを内包しているものと言わねばならない。

(桑原 大和 浜)

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